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題詠100★2020 ブログトップ

題詠100★2020 091~100 [題詠100★2020]

2020-091:呪

ウィンドウにからくれなゐの炎たつ呪詛のごとくにカラーの群れは

2020-092:タッチ

まなかひにタッチアンドゴーをくりかへす巨像のもとの支配はありぬ

2020-093:属

うつろなる金属音をきしませてビルは伸びゆくヨコハマの空

2020-094:錠

とりどりの十一錠をころがしてテーブルの上(へ)に朝のいううつ

2020-095:俗

身にかかることを差し置きエンタメを並べて俗な見出しはおどる

2020-096:機嫌

ひづみたる芽キャベツひとつ不機嫌に鍋の底ひをいつたり来たり

2020-097:詐

老いひとの多しと聞きぬおとに聞くほめほめ詐欺にこころ動くは

2020-098:鈍

包丁を落とせば鈍き音のして未練のままに南瓜は裂けぬ

2020-099:任

連載をあと一年は頼むよとあなた任せのメールが届く

2020-100:詠

生きがたき世にありければ社会詠にこころ寄するひと多しとふ記事

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題詠100★2020 081~090 [題詠100★2020]

2020-081:札

五十年のときに流れて札付きと呼ばれし子らの消息しらず

2020-082:秒

真夜ふかくたゆまず進む秒針はくきくきと死に向かひて歩む

2020-083:剤

きさらぎは薔薇(うばら)の鉢に差し入れる栄養剤のうすき青色

2020-084:始末

うつせみの身の不始末をかこちつつ川べりに立つ鴫を見てゐる

2020-085:臭

読み解けぬ亀の子文字はかび臭き研究室の顔としてある

2020-086:造

キリストを去りし我なり赤レンガ造りの塔はかはらずに立つ

2020-087:栽

ゆくりなく送りしのちに盆栽の使はぬ鉢のひとつ残りぬ

2020-088:しばらく

野分さりげにうれしきと友の言ふしばらくぶりの温かき湯に

2020-089:里

屋根おほふブルーシートのをちこちに水仙の里とほき春はも

2020-090:植

その影のありやなしやのしたたかは夜の辻に咲く隠花植物

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題詠100★2020 071~080 [題詠100★2020]

2020-071:能

能力をみがかぬままに年経れば「自己責任」が背にのしかかる

2020-072:吉(歌題は「つちよし」の「吉」、ブログでははじかれて投稿できないため新字とします)

気取るなき歳ともなれば懐にやさしきままの吉野家へ行く

2020-073:採

めづらしき何かを見つけふりまはす虫採り網のとほくに消ゆる

2020-074:せめて

クラファンに見知る人ありせめてものこころざしとてTシャツを買ふ

2020-075:擦

なにとなき段差にころび擦り傷をなでつつ思ふこれからのこと

2020-076:充

充所わからぬままに戻り来るましろき文はすこし汚れて 

2020-077:武器

トラメガを持たねば声を武器としてつのる差別にあらがうてゐる

2020-078:添

手を添えて路上の人を避難所につなぐ小柄な背中を見つむ

2020-079:内

薄紙をとけば巡れるひととせにお内裏さまの清きかんばせ

2020-080:擁

抱擁のおもはせぶりにほどければ小川に沿うて柳はゆれる


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題詠100★2020 061~070 [題詠100★2020]

2020-061:まじめ

「生まじめな人ほどハマる」説く医師へ頷くがごと幟はゆれる

2020-062:催

豆まきが終はればはやもひな祭り催事ブースの気ぜはしきこと

2020-063:幽

霧のたつ夜明けの湖にひとはなくいま幽界とうつつのあひだ

2020-064:父

手つなぎし記憶なければまなうらに父の背中のほとほと遠し

2020-065:一部

引き揚げの暮らしの程はいかばかり一部始終を語らずに逝く

2020-066:硬

硬軟をとりまぜ民主主義を説く書記局長はけつこう人気

2020-067:デビュー

ファミレスは外食デビューの子らの目にひときは眩し皿の上(へ)の旗

2020-068:緊

影をなす着物のしはを眺めたり緊縛といふつくられし美の

2020-069:裸

抱き上ぐる息なき子らの裸足ゆれ怒号とびかふイドリブの絵図

2020-070:板

かくれ棲むけものいくたり眺めゐる天井板の木目のうちに

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題詠100★2020 051~060 [題詠100★2020]

2020-051:夫婦

まつりごと家なる枷をはめたがり未だすすまぬ夫婦別姓

2020-052:冗

でんでんは何の冗句と思ひしに闇は近づく鬼さんこちら

2020-053:掌

大仏のしわひとつなき掌のうへに今宵ことしの初雪のふる

2020-054:がらくた

何を買う目当てもなくて腕を組みがらくた市にふたりゐること

2020-055:譲

交譲葉のごとき一生を送りしか銘なき石に香華を手向く

2020-056:処

はなぐはし桜のもとに鹿ぞ棲むわがおくつきを此処にさだめむ

2020-057:ソプラノ

やうやくに薄日さしくる昼まだき春告げ鳥のソプラノ・リリコ

2020-058:峰

包丁の峰に打ちつく肉塊はすべなきことの分身にして

2020-059:招

いくさびとばかり眠れる招魂社かたへの獅子は砲弾を踏み

2020-060:凶

くりかへしニュースは流す凶弾に倒れしひとの永のいとなみ

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題詠100★2020 041~050 [題詠100★2020]

2020-041:拒

抗拒とふことば覚えぬ弱きもの棄つるがごとき判決文に

2020-042:司

司とは節あるものと思ひしをテレビの前にためいきを吐く

2020-043:個

障害も個性ならむか白壁に七本脚の蜘蛛うずくまる

2020-044:施

白布の上(へ)たゆたふ我に盲ひたる人の施術のゆびの確かさ

2020-045:攻

いつのまに横須賀基地ゆ艦(ふね)いづる攻むると言はず守るといひて

2020-046:わいわい

あたらしき七夕笹にわいわいと寄り来る子らは短冊を下ぐ

2020-047:溢

垣根ごしミモザの黄(きい)の咲き溢れ見知らぬひとに春をいただく

2020-048:殴

匿名のことばに殴るひと多しなぜ被害者が去らねばならぬ

2020-049:兼

名も知らぬひとに無沙汰のわびを兼ね歌を送れば「いいね」が届く

2020-050:削

たまだすき文に最後のひとことを削りていまはものをこそ思へ

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題詠100★2020 031~040 [題詠100★2020]

2020-031:芝居

満開のさくらの下の仁王立ち芝居がかつたポーズを嗤ふ

2020-032:委

いつさいを委ねることのむつかしく川べりに佇つ鷺の白さは

2020-033:虐

お喋りなSNSに広まれば犬虐げしひとの捕まる

2020-034:頃

冬さむは火ともし頃の店先をほがらに点るフォックスフェイス 

2020-035:為

あるはずの為書きみえぬ落選の選挙事務所に人のあふるる

2020-036:撮

をちこちに自撮り棒たつ中華街なじみの店の去りつるのちも

2020-037:あべこべ

あべこべの道ゆきしひと探さむと出づれば襟に木枯らしの吹く

2020-038:私

出航の汽笛のとほく聞こゆれば私小説とふ『愛人(ラマン)』をおもふ

2020-039:威

寝ぬるがに見えたる檻の老い獅子はふいの片眼に我を威嚇す

2020-040:スパイ

外つ国の童話を読めばあくがれはミンスパイてふ未知の食べもの

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題詠100★2020 021~030 [題詠100★2020]

2020-021:冊

合格の祈りのあまたスーパーの短冊にあるハマはきさらぎ

2020-022:自慢

ひそかなる自慢のうつは毎日のまずしき糧をいろどつてゐる

2020-023:陥

陥れられたる民を肥やしとてすがれ咲きしは御苑のさくら

2020-024:益

ふゆがきを益子の鉢に盛り合はせ玄関先の飾りとなしぬ

2020-025:あなた

疲れたる我を呼ばふかわたつみのあなたにおはす補陀落浄土

2020-026:岩

あしひきの岩波文庫の書棚より薄きを選みたづさへてゆく

2020-027:慰

言ひ募る笑顔のひづみ櫛の歯の欠けゆくやうに慰安婦の冬

2020-028:刷

いまだ持つ『回想録』の一刷にそを訳したる恩師のサイン

2020-029:オープン

年経りて身を飾る折りなくなれば箪笥にねむるオープンハート

2020-030:建

解き放つ禍いのことフクシマの建屋の奥にひそむ魔物を

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題詠100★2020 011~020 [題詠100★2020]

2020-011:域

蒼天を見上げてをりぬ失ひしクリスティーヌの声域ははや

2020-012:雅

貶(おと)したり持ち上げたりの誌面には雅子さまとふダイヤのティアラ

2020-013:意地悪

今にして思へば罪のなき笑ひ『意地悪ばあさん』ひとページ繰る

2020-014:客

客足の遠のきしとふ対馬には外つ国人を拒む貼り紙

2020-015:餌

ベランダに皿を蹴倒す音のして鳩は発ちたり 餌を注ぎ足す

2020-016:グラス

玉ねぎをむけば痛みは負の記憶ギュンター・グラスの足跡を読む

2020-017:境

かしのみは武蔵境の川べりに木洩れ日をうけ独歩の碑たつ 

2020-018:位

携帯は位置情報を持ちをれば電源を切る行き逢ひしのち

2020-019:立派

箱ぬちは立派に過ぎるアイベリー熟れゐる粒をそうつとつまむ

2020-020:梅

鈍空へ溶け入るやうにひそと咲く臘梅のした如月をゆく

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題詠100★2020 001~010 [題詠100★2020]

2020-001:君

君の見し山ふところのゆふぐれは数分ののちネットにながる

2020-002:易

夜の灯を避くるごとくに店を出す辻の易者のおもざし見えず

2020-003:割

「味玉をサービスします」その店の意気をうつしてなる選挙割

2020-004:距離

携帯はひそかにふるふいふなればほどよき距離の恋のまねごと

2020-005:喉

掌につつむ茶碗の肌の冷えひえと今宵のさけは喉(のみど)をくだる 

2020-006:鋭

ゆくりなく鋭(と)きひとこゑは空を裂きわがまなかひにハヤブサは消ゆ

2020-007:クイズ

しくじつた肩のふるへよスクイズのごとき手練れの勝ちをなくして

2020-008:頑

手放さむものかぎりなく頑なにあらねばできぬ終の身じまひ

2020-009:汁

「シロさん」をとほくに見つつ出汁をひくこともなくなりスーパーへゆく

2020-010:なぜ

いつまでをくりかへす「なぜ」カラオケのレトロな絵図に『恋の予感』は
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