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クロユリ [自然]

みそかごとひとつありけり黒百合のはつかにこぼす香のつたへぎき

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Photo by Akira Kitano


クロユリ、というと、私は、中学生の頃に読んだ「ウェストサイド物語」を思い出します。

アニタがクロユリの香水をつけて恋人を待っていた夜、
ベルナルドはトニーに刺殺されてしまった。

写真を撮影なさった北野さんは、旧いテレビドラマを覚えていて、
それ以来ずっと憧れておられたそうです。

串田孫一の「山頂」、古関裕而の「黒百合の歌」、
小さいけれど、妖しい花ではあります。


庭園の色彩を詠む [自然]

6月29日、千葉県佐倉市のDIC川村記念美術館が主催する
庭園の色彩を詠む」という短歌講座に行ってきました。

実は、川村記念美術館は以前から知っています。
設立準備室にいた方とは面識がありましたし、
ロシア民謡がお好きだった初代館長の川村勝巳氏は
コンサートのお手伝いをした際、お見かけしたことがあります。

薄いご縁とはいえ、収蔵作品についてもある程度は知っており、
行きたいと思いつつ、あまりの遠さに二の足を踏んでいたのですが
今回思い切って参加しました。

歌を詠みながら花の写真を撮るのはとても無理なので、
早めに行ってまず庭園を一周。
結果的には、詠みたい花が絞れてよかったのです。

ロータリーから、道なりに桔梗、

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マンリョウ

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ヤマユリ

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山法師(山桑)

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紫陽花

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ホタルブクロ

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丸葉ユーカリ(今の季節、葉は赤いのですね)

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大賀ハス

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ヒツジグサ

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紅や黄色の睡蓮

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半夏生

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スモークツリー

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その後の展示を見るにあたっては、
ナイルの先輩の、助言ではなくご自分の印象が、とても役立ちました。

ロスコ・ルームは以前、「日曜美術館」で見たことがありましたが
実際の印象は映像とはるかに異なるものでした。

そして、午後のワークショップに参加。
講師を務められた依田仁美さん(短歌人)、
お目にかかった石川幸雄さん(解放区)、森水晶さん、
小村井敏子さん(ナイル)、ありがとうございました。

フィールドワークは45分、連れだって行動するわけではないので
とても集中できました。
歌の提出時間に遅刻するほど。
はっと気がついたらフィールドワークの時間を5分過ぎていたのです。
それも美術館からいちばん遠い蓮池で。

ともあれ、午前中の下見があったとはいえ
即詠ではあっても歌の形になったものが六首、断片が2つできたことは
大きな収穫でした。

講評が押したので、帰りの時間を変えられなかったため中座し
依田さんの講評を直接伺えなかったのは残念です。

7月10日の締め切りは9月の詠草になるので、
「連作は永遠」という難しさと重みを感じつつ、
今の自分なりに頑張ったつもりです。

日ざかりを微風にふれよ花々はうた詠むわれに何を語らふ

芝桜 二首 [自然]

いつになく呼びとめられぬひと知れず花つめくさの咲きわたりけり

瓶に泣く美女ざくらあり地に伏する芝ざくらありいづれかなしき

本歌:高々と咲く桜あり地に平む芝ざくらあり競ふにあらず(谷鼎)

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Photo by Akira Kitano

ミモザ [自然]

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春を待つ君を焦らすか糠雨はひと日ミモザの蕾に降りぬ


ミモザの花がとても好きな歌人さまがおられます。
あと1日晴れの日があったら満開になると仰っていたのに
きのうは終日あいにくの雨。

春らしい黄色の花が待たれます。


夏の終わり 二首 [自然]

莢蒾(がまずみ)の朱まだ淡き川の辺にあるかなきかの秋は来にけり

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をみなへし盛りの色に身をやつす揚羽の黄は花に吸はるる

本歌:女郎花盛りの色を見るからに露のわきける身こそ知らるれ(紫式部)

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Photos by Akira Kitano
撮影者の了解を得て転載させていただきました。

折句「卯年(うさぎどし)」 [自然]

薄ら日の差し来るかたに菊いちりん常磐木に添ひ静もりてあり

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けやき通り [自然]

黄葉(わうえふ)のきざす並木よ汝もまた永遠(とは)に美(くは)しきものを欲らずや

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私のHNの「紫苑」は短歌とはまったく無関係につけたものですが、
たまたま重なったところから「水原紫苑が好きなのか」とよく聞かれます。

水原紫苑の短歌は対象にまったくつかず、飛躍も大きいですし
「新古典派」と称されるように言葉選びも難解なので
取っつきにくい感じはしていましたが、
あまりに言われるので歌集を何冊か読んでみました。

気づいたのは、なんと言っても一読では具象に乏しいこと、
擬人化を含むメタファが多いことです。

100%真似はよくありませんが、
ときには彼女を模倣して真っ正直な詠みをちょっと離れてみようかと。

先月、横浜美術館に行ったときに通ったけやき並木を詠んだものです。

夏の草いきれはとうに過ぎ、かといって色づくには時期が早かったので
落ち葉特有のあまい匂いもせず……。
ふつうならあまり気に留めず、いかにも歌にしにくい過渡期という感じを
逆に掬い上げてみました。

この歌には「うたのわ」で返歌をいただいたのですが、
お返しいただいた歌のほうがこの歌より数段よくて(笑)、
何とも釣り合わず……ですが、大変嬉しく思いました。

ご諒解をいただきましたので「うたのわ」より転載いたします。
ありがとうございました。
(画像に保護機能が付いていて引用先にリンクが貼れないため、文中からリンクしました)

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月と金星 [自然]

弓月のふところに添ふ明星の見ひらく瞳零るるまでに

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昨夜表に出てみたら、月と金星がとても近くにありました。
とはいえ何とも微妙な近さで、互いに手を伸ばしても届きそうにないような……。

でも距離を詠むとか、距離に何かを象徴させるというのは
難しいですね。
何だかあまあまな歌になってしまって、いまひとつ不満足です……。



シロツメクサ [自然]

詰草のとおき記憶を辿りゆきわれも一荷の植物となる

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ラナンキュラス [自然]

とりどりのラナンキュラスは他愛なく色うつくしき毒のマカロン

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色とりどりの手まりのような、ある意味単純そうな花なのに
毒草なのだそうです。
症状のひとつに「笑い死に」とあるのを読んで唖然……。

「ごとく」「に似て」などを使わないで詠むことを課題にしました。