完走報告（紫苑）

今年はいつもよりスロースタートで、
ゆっくり完走いたしました。

例年どおり、特にテーマを決めず、
歌題ごとに自分らしい歌を詠むことを心がけました。

主催の五十嵐様、ありがとうございました。

100:願（紫苑）

あかときに彼岸のいろの　願ひなきうつせにありてしばしたゆたふ

099:聴（紫苑）

水府への流れをしばし辿りきて春にふるへる楽の音を聴く

098:独（紫苑）

独り居の病み人あれば座りたる視線に添うて看護師をまつ

097:騙（紫苑）

意をもちて騙さるる日のかなしかり海ゆさかまく流れを見やる

096:賢（紫苑）

おそきはる咲くを待ちたる普賢象ひを吸うてのちあかるきみどり

095:申（紫苑）

子を持たぬ我にてあれど布いろも目にあざやけき申ぼぼを愛づ

094:腹（紫苑）

腹のたつこともすくなくなる歳にカップの酒のあぢをおぼえぬ

093:わざわざ（紫苑）

いまどきにわざわざしくも聞こゆれどごきげんやうのひびきうつくし

092:徴（紫苑）

降り出した雨はわかれの徴（しるし）なれ遠ざかりゆく傘をおくりぬ