略奪の大地にありてなほつづく人のいのちの重さのちがひ
萌え出づる山菜をつみ君がため料りておもふ春とほからじ
ふぢなみの思ひもとほる呟きのアットマークをひそかにはずす
丘からの眺め変はれどなつかしきドルフィンに聞く炭酸のおと
み社(やしろ)にひとりにて引くおみくじをひそとしまひぬ当たるも八卦
この雲はどこまでつづく玻璃まどに珠なす雨の降りやまずあり
午まだき遊びつかれて眠りゐる仔猫二匹は化石のかたち
錦秋の渓をあゆめば胸ぬちのくれなゐに染むここちこそする
愛憎をより合はせたる糸ひとすぢ冥界までをつづいてゆくか
佳人とふ呼び名のにあふ白蓮の目のおくにさく曼珠沙華かな