歌誌月光82号掲載歌「舌の記憶」 [歌誌月光]
にはたづみとつくにびとの厨より美味(うま)かるものの包みがとどく
カダユフをつまめば指にピスタチオしたたるまでのみどりあざやか
舟形のはんぶんあればこと足りる昼餉のピデをゆつくりと噛む
スパイスが鼻を抜ければハマの辺にクルディスタンの風吹きわたる
雨もよひフェスにあがなふミャンマーのたまごカレーのやさしき味は
キルギスはいづこにあらむコーヒーにハートを描くひとのふるさと
離(か)れて住む国のあれこれヒジャブゆへをみな殺むる「革命」ははや
やうやくに逃れ来たるもそらみつやまとの国はかくもつめたし
働けず紡ぐもならず手づくりを売ることのみを生計(たつき)といふか
匙に分くる菓子を個食につくりかへ日本の常にあはせしといふ
この国に虐げられしも型抜きにさくらを選むひとのかなしき
秋闌けてタイムラインを埋めつくす今あらそひの地を爆ぜること
ふたたびの冬を迎ふるザポロジエに取り残されし犬のまなこは
天井のなき囚獄(ひとや)ともうつせみの世にありなしのガザ地区は晴れ
弾き語りの『Russians』流るふたたびを罪なき子らの死にゆくゆふべ
カダユフをつまめば指にピスタチオしたたるまでのみどりあざやか
舟形のはんぶんあればこと足りる昼餉のピデをゆつくりと噛む
スパイスが鼻を抜ければハマの辺にクルディスタンの風吹きわたる
雨もよひフェスにあがなふミャンマーのたまごカレーのやさしき味は
キルギスはいづこにあらむコーヒーにハートを描くひとのふるさと
離(か)れて住む国のあれこれヒジャブゆへをみな殺むる「革命」ははや
やうやくに逃れ来たるもそらみつやまとの国はかくもつめたし
働けず紡ぐもならず手づくりを売ることのみを生計(たつき)といふか
匙に分くる菓子を個食につくりかへ日本の常にあはせしといふ
この国に虐げられしも型抜きにさくらを選むひとのかなしき
秋闌けてタイムラインを埋めつくす今あらそひの地を爆ぜること
ふたたびの冬を迎ふるザポロジエに取り残されし犬のまなこは
天井のなき囚獄(ひとや)ともうつせみの世にありなしのガザ地区は晴れ
弾き語りの『Russians』流るふたたびを罪なき子らの死にゆくゆふべ
歌会の歌 [歌誌月光]
12月 題詠「生誕」
ひのもとの貧苦を生くる難民のをみなの子にも生誕祭(なたら)はありぬ
ひのもとの貧苦を生くる難民のをみなの子にも生誕祭(なたら)はありぬ
入国まもない難民申請者の妊婦さんが増えている。
— 大澤優真/OSAWA Yuma (@yumananahori) December 6, 2023
過去に関わった妊婦さん。村の男が殺され母子だけで逃げてきました。その後、夫は亡くなりました。来日後、妊婦さんと小さいお子さんは寒い外で路上生活。その後、支援団体で保護。寄付金などで出産。大変な環境ですがスクスク育っているとのこと。続