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題詠100★2020 081~090 [題詠100★2020]

2020-081:札

五十年のときに流れて札付きと呼ばれし子らの消息しらず

2020-082:秒

真夜ふかくたゆまず進む秒針はくきくきと死に向かひて歩む

2020-083:剤

きさらぎは薔薇(うばら)の鉢に差し入れる栄養剤のうすき青色

2020-084:始末

うつせみの身の不始末をかこちつつ川べりに立つ鴫を見てゐる

2020-085:臭

読み解けぬ亀の子文字はかび臭き研究室の顔としてある

2020-086:造

キリストを去りし我なり赤レンガ造りの塔はかはらずに立つ

2020-087:栽

ゆくりなく送りしのちに盆栽の使はぬ鉢のひとつ残りぬ

2020-088:しばらく

野分さりげにうれしきと友の言ふしばらくぶりの温かき湯に

2020-089:里

屋根おほふブルーシートのをちこちに水仙の里とほき春はも

2020-090:植

その影のありやなしやのしたたかは夜の辻に咲く隠花植物

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