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歌会の歌 [歌誌月光]

12月 題詠「生誕」

ひのもとの貧苦を生くる難民のをみなの子にも生誕祭(なたら)はありぬ


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歌会の歌 [歌誌月光]

11月 題詠「手帳」

はつふゆに職うしなへばゆくりなく空白となるウェブカレンダー
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短歌とわたし [歌誌月光]

 なぜ歌を詠むかを突き詰めて考えたことがない。やむにやまれぬ理由や動機から歌を始めたわけではないからだ。

 日本文学科出身でもなく、「折々のうた」ぐらいしか読んだことのない私が歌を始めたきっかけは、短歌専門SNSが開設されたというニュースに興味を持ったからだった。ただネット短歌は一長一短で、初心者でも臆せず参加できる反面、仮名遣いや文法上の誤り、詠み癖などを指摘してくれる人がいない。

 知人に勧められた入門書は頴田島一二郎『作歌はじめのはじめ』。基礎知識ゼロの私にとって、時系列的な解説や、文法・書式の記載は有り難かった。古書店でもとめた生方たつゑ『短歌をたのしく 作歌と鑑賞』は、特に自註と鑑賞の章が興味深かった。

 しばらく添削サイトで指導を受けた後、誘われるまま結社に入った。

 結社にいてよかったと思うのは、私事で作歌が難しい時期があった時、出詠の締め切りがあったことだ。無理やり歌を作るのがよいかどうかは人それぞれだろうが、私の場合、締め切りがなければそのまま歌をやめていたかもしれない。

 助詞の使い方や連作における品詞の配置など、表現技法の学びは結社に負うところが大きい。逆に、叙情的な自己表現を好まないのと、内容の縛りはなかったので、テーマや事物の切り取り方は我を通して今に至る。いったん手を離れたら読み手に委ねるものと教わったので、自解を求められる歌会は苦手だ。

 三十一文字が自分にとって程よい長さであることも、歌を続けている理由の一つだろう。長文を書くのが苦手な反面、跳躍力に欠けるので、俳句という選択肢も最初からなかった。ただ、作歌が楽しくいくらでも作れるという時期は最初からなく、歌稿に苦労する点は未だに変わらない。

 そんな風でつかず離れず、なぜ詠むかは「身近に歌があるから」というくらいの理由でよいのではないかと、最近は思っている。

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祭り [歌誌月光]

停車場に人のあふれてみちのくはみじかき夏の祭りさまざま

ルドベキア群れ咲く山を下りゆけば海辺の町は炎暑にありぬ

海の上(へ)に繰り出だしたる船ぶねの満艦飾のひかりなないろ

着流しの友いささかを誇りかな午後はにはかに祭りめきたる

人混みをいとうてひとり夕すずみとぎれとぎれの遠花火きく

露台より望むみなとの夜は更けてスターマインに空のあかるむ

足もとの闇をかそかに揺らしつつ立ちのぼりくるこほろぎのこゑ

まつりにもわかうどの手を借りる地に震災いまだをはりなきなり

いそがしき午後のあひまにかき氷ふたつたづさへ友もどり来ぬ

四とせぶり道中踊りの道なりをあいさつの輪のをちこちに咲く

駅まへの目抜き通りに九つの山車ならびゐる旧のたなばた

こだはりの武者絵を透かすらふそくの灯に家康のまなこするどし

さんざめく山車をかこみてグルーヴは笛と太鼓のからみあひつつ

練り歩きをへ脱ぎ捨てし白足袋のすこしよごれて夏は畢んぬ

ひとげしき絶えればすだく虫のこゑいやまさりつつ秋たちにけり

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歌会の歌 [歌誌月光]

10月 題詠「十月」

銀杏のぽとりと落つる音のしてふりむけば空、空の日だまり

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歌会の歌 [歌誌月光]

9月 題詠「歌」
(【注】概念としての「歌」ではなく、詞にメロディーをつけて
うたわれる歌です。かつて街角で聞こえて来た流行歌やあなたの
思い出の歌、愛唱歌などから一曲を選んで、それをモチーフに
短歌をつくってください。)

わくら葉をなぞるふたしか かへらざるわたしの空はいづこにあらむ


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ケセン語を聞く [歌誌月光]

ここからが旅のはじまり伝承館と一本松の地におりたちぬ

ひしやげたる消防車あり殉職のおほきをおもふあの日の午後は

「地のひとの無理には見ざれ」ふるさとは今なほ癒えぬかさぶたを持つ

町ひとつ流されしとふ戻るひとなき地まばらに草生ふる見ゆ

なにとなく言葉すくなは群れ咲ける藤のなだりに小雨そぼ降る

黄ばみたる原稿用紙を並べ替へ編みなほしては星座のかなた

そも何を業といひしかうつし世は生き別れたるカムパネルラに

さまざまの貌をもちたりてつちやんと呼ばれし画家の一九一二

珈琲の香のただよへる蔵ぬちに向かうて過ぐす午後やはらかし

まひるまはオシラサマ顕つ暗がりにあの世この世の思惟のおぼろげ

遠野産わさびの文字に購ひしアイスひとくち日ざかりの午後

まなかひに海はひらけて見せたしと友の言なる景ここにあり

空に伸ぶるうすあをの手ははてしなく防潮堤のタイルアートに

地の魚の活きを勧むるキャッセンのあるじにとほきケセン語を聞く

Y字路の果たては見えずドライブに三日聞きたりZero Landmine

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歌会の歌 [歌誌月光]

7月 題詠「角」

ストビューを辿りおとなふ街角はあの日のままに凌霄花(のうぜん)ゆれる
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旅のつれづれ [歌誌月光]

青葉若葉ときの盛りをほしいままげに杣道の辺を侵しけり

さわがしきつつじの群れにひねもす横断歩道はカッコウをいふ

参道のゆふべは早し暮れなづむ開運橋に猫をらずして

駅頭のベンチにひとりくつろげば漏れ聞こえくる隣のはなし

喧噪をのがれて来たるこの地にも外つ国人への差別はありや

支援者とおぼしき老いの励ましをむなしく聞きぬ同胞(はらから)として

うつむいて足早に去る若者のこよひの幸をひた祈りけり

山峡のなだりに沿うて藤のいろ日の暮れがたの空になづめり

どこまでも蒼きゆふぐれ眼下には灯のかずだけの暮らしがありぬ

かはたれに貨物列車の過ぎゆけばとほくちかくに時鳥なく

産地とふ誇りもあらう小ぶりでもたまご絶やさぬビジホの朝餉

立ちのぼる火花のさきにまぼろしの蛾のほの見ゆる護摩壇あたり

御堂にてスマホかざすも叩頭の信心あるはいかで羨しき

ひたひたと潮満ちくればからつぽのたましひのごと春の海月は

虐殺のありにし川にやなぎ葉のひかりはゆれて夏来たるらし

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歌会の歌 [歌誌月光]

6月 題詠「映画」

謀りごとたがひちがひに綯ひあはせ快楽(けらく)となさむひとよの花火

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