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祭り [歌誌月光]

停車場に人のあふれてみちのくはみじかき夏の祭りさまざま

ルドベキア群れ咲く山を下りゆけば海辺の町は炎暑にありぬ

海の上(へ)に繰り出だしたる船ぶねの満艦飾のひかりなないろ

着流しの友いささかを誇りかな午後はにはかに祭りめきたる

人混みをいとうてひとり夕すずみとぎれとぎれの遠花火きく

露台より望むみなとの夜は更けてスターマインに空のあかるむ

足もとの闇をかそかに揺らしつつ立ちのぼりくるこほろぎのこゑ

まつりにもわかうどの手を借りる地に震災いまだをはりなきなり

いそがしき午後のあひまにかき氷ふたつたづさへ友もどり来ぬ

四とせぶり道中踊りの道なりをあいさつの輪のをちこちに咲く

駅まへの目抜き通りに九つの山車ならびゐる旧のたなばた

こだはりの武者絵を透かすらふそくの灯に家康のまなこするどし

さんざめく山車をかこみてグルーヴは笛と太鼓のからみあひつつ

練り歩きをへ脱ぎ捨てし白足袋のすこしよごれて夏は畢んぬ

ひとげしき絶えればすだく虫のこゑいやまさりつつ秋たちにけり

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