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春の鐘/終焉 [文学・童話]

身の裡に帯びる刃(やいば)は不確かで此(こ)に在る生も死も視えぬまま

ゆるゆると絞むるがごときTOKYOの高架のもとに荒みゐる無為


このまま題をお借りして詠んでいると
範子が身の裡に棲んでしまいそうなので…。

灰色に澱んだ空とその下にひろがっているコンクリートの建物に、内面の暗い風景が重なっていた。夫を刺し自分も死のう、と決断したのは、あれは本心だったのか、たしかにあのときあたしは出刃を握ったが、刺そうという感情はなかったはずだ、 (中略)  この暗い内面の風景は、もしかしたら生涯消えないかもわからない……。鍵をあける音がしたと思ったら勝森がはいってきた。とにかく今日はこの男を相手に軀を灼きつくそう……。(立原正秋「春の鐘」より抜粋)

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コメント 2

横雲

白睡蓮での立原正秋の「春の鐘」を歌物語にというばかな試みがなんとか一応最後までいきました。なかなか上手くいきませんでした。何をどうすればいいかはこれから考えます。
最後に、御作を勝手に転載させていただきました。どうも自分のだけでは格好がつかない感じでした。
よろしくご了承頂きたくお願い申します。
by 横雲 (2011-03-10 22:54) 

purple_aster

横雲さま

コメントを頂戴して御作を最後まで読ませていただきました。

小説から歌を起こすのは細かくすればきりがありませんが、
ほどよい切り取り方だったのではと感じます。

思いがけず拙歌を掲載していただき、ありがとうございました。

「春の鐘」は「残りの雪」「その年の冬」とともに思い入れの深い立原作品で、
まずそれをお取り上げいただいたのも何かのご縁かと存じます。

女主人公に自分を重ねればより純粋な恋歌が詠めるのでしょうが、
私自身が関東圏から出たことがなく、自身の体験に照らしても
現代社会におけるどこか病んだ愛や性に自らを重ねるところもございます。

今後の御作の展開を楽しみにしております。

by purple_aster (2011-03-10 23:45) 

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