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短歌と差別語 [こころ]

既知外と叫ぶ老女の歩み去り路地は夏陽に影をうしなふ

   hideri.jpg

詠んだときは悩みました。
言い換えはきかない。
できれば本来の漢字を使いたい。
けれども世の趨勢として差別語は排斥される傾向にあり、
使って良いのかわからない。

これは先月の初めに詠んだものですが、
今回の「そののち歌会」にあえて差別語を使った作品が投稿されました。

歌評を書くに当たって皆さん引っかかるのはやはりその部分で……。

ちょっと調べてみると、短歌と差別語についてはいくつか
問題になったケースがあることがわかりました。

1.
82年秋、朝日は読者投稿の「歌壇」で「北鮮」という語を使った短歌2首を続けざまに掲載した(10月31日、11月28日)。教師らが抗議の声を上げた。朝日は当初、「言葉に文句をつけられたら短詩型文学は成り立たぬ」「地域名の略称だと思う」と対応(社内資料)、差別の意図はないことを主張した。
 抗議に加わった社会科教師の内海愛子(68)は、朝鮮史学者の梶村秀樹と明治の朝日新聞などを調べ、韓国併合(1910年8月)以降、「韓国人」「韓人」にかわって「鮮人」という言葉が急速に広く使われるようになったことを明らかにした。朝日は、差別語使用を反省し、社内研修を約束した。


「北鮮」「鮮人」は差別語か

2.
●差別用語を掲載した同人誌(3月6日)
短歌誌「新アラギ」(ママ)の掲載短歌に、
「つんぼ桟敷におかれましままに英会話入門講座十回終わりぬ」
「盲蛇におぢずイルメダの質問に単語をつなぎわが答えいる」
と掲載されていた。


2002年 県内における差別事件の概要

一方、歌に携わる人の意見はなかなか見つかりませんが、以下のようなものがあります。

1.
「歌言葉考言学」抄 ~たち、ども、どち~

2.
短歌教室 「短歌と差別語」

(2)は私も一時期添削をお願いしていた梧桐学先生の記事で、
「短歌と差別語」という疑問に短歌人として正面から回答なさったものです。

簡単に結論の出る問題ではありませんが、
1)悪意の有無
2)短詩型文学という特徴をどうするか(長文の言い換えがきかない場合の是非)
などに照らして、真摯かつ慎重に判断すべき問題だと思います。

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