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薔薇と木犀草 [文学・童話]

春来たり薔薇と木犀草(レセダ)のともに咲けば
みなに等しく愛の降るらむ

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金木犀の季節に、ルイ・アラゴンの詩を詠んだお歌をいただきました。
詩は「薔薇と木犀草」。
(金)木犀の香る夕べに、木犀草(レセダ)をうたった抵抗の詩を
おもいます、という内容のお歌でした。

詩そのものを詳しく読み返さないと歌をお返しできないので、
その時に読み直しました。

この詩は、キリスト教徒のエティアンヌ・ドルヴとジルヴエル・ドリュ、
共産党員のガブリエル・ペリとギイ・モケに献げられています。

思想や信仰は違えど、ともに祖国のために闘い倒れた者達と、
共同の闘いへの讃歌をうたうことで、
ひろく統一行動を呼びかけた名詩として知られています。


薔薇と木犀草        ルイ・アラゴン

神を信じた者も
信じなかった者も
ドイツ兵に囚われた あの
美しきものをともに讃えた
ひとりは梯子にのぼり
ひとりは地にうっ伏した
神を信じた者も
信じなかった者も
その足跡はかがやいていた
その呼び名は問うまい
ひとりは教会よりあるいてきた
ひとりはそこを避けてきた
神を信じた者も
信じなかった者も
ともにみな忠実だった
その唇で 心臓で その腕で
ともに叫んだ 祖国に栄光(はえ)あれ
時がくればわかるだろう と
神を信じた者も
信じなかった者も
麦が霰にうたれているとき
気むづかしいのは愚かなこと
共同のたたかいのなかで
たがいに争うのは愚かなこと
神を信じた者をも
信じなかった者をも
高い砦のうえから
哨兵は撃った ひとりまたひとり
ひとりはよろめきたおれ
ひとりは倒れ 息絶える
神を信じた者も
信じなかった者も
ともに裏切らなかった
あのものの名をくり返えし
赤いその血は流れ 流れる
おなじ色に おなじ輝き
神を信じた者も
信じなかった者も
その血は流れ 流れ交わる
ともに愛した大地のうえに
新しい季節がくるとき
麝香葡萄のよく実るように
神を信じた者も
信じなかった者も
ひとりは地を駈けひとりは空をとぶ
ブルターニュから ジュラの山から
蝦夷苺よ すももよ
蟋蟀もなお歌いつづけよ
語れ フリュートよ セロよ
雲雀と燕とを
薔薇と木犀草とを
ともに燃えたたせた あの愛を
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