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日本短歌協会よりお知らせ~「相棒season10」制作に参加 [日本短歌協会]

昨日、日本短歌協会の会報21号が届きました。

それによると、日本短歌協会理事長代行で
「ナイル短歌工房」代表の甲村秀雄氏が
テレビ朝日の人気番組「相棒season10」の第三話に
女優の三田佳子さんの短歌指導、
同協会会員で「ナイル」同人の濱谷美代子さんが
書道指導として参加されたそうです。

材料選びには甲村氏も参加され、
選ばれた紺青色の和紙が収録に使われたとのこと。

収録日誌は全文を掲載したいほど面白いのですが
さすがにそれはやめておきます。

この作品「晩夏」はseason10の第三話で
オンエアは11月2日です。
ご興味のある方は是非!

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花の一生 [日本短歌協会]

 クレマチスを身近に植えるのが夢だった。その驕慢とも哀愁ともつかない名の響きに魅せられたかのように。
 もとめた色変わりのクレマチスが、夏近くなってようやく一輪開いた。
 深紅の花びらが徐々に開いていくさまを宝石を掌に包むようにだいじに眺めていたが、咲ききった花は日ごとに赤みを喪って紫に変わり、ある日はらはらと散ってしまった。
 「花の色は移りにけりな」と詠ったのは小野小町だが、女と歌の枯れ逝くさまを花の一生に見た思いである。

(日本短歌協会会報21号掲載)

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劇詩「暁の寺」第24の歌「執拗の罪」 [日本短歌協会]

火と水のまじわるところ
紫草(むらさき)の茂れる野辺に
見交わしもあえぬ現世(うつせ)の
縁(えにし)をし君と結びぬ。

過去(すぎゆき)を思い惑いて
風にのせ声を放てば
そに応え運ばれ来るは
魂迎え鳥(たかむかえどり)のいざない。

あな哀れ枯れし弓弦葉(ゆずりは)、
君を追い世を彷徨(さまよ)えば
奥津城(おくつき)の身の安らわず。
涅槃(ニルヴァナ)はるか。

むらさきの縁を追うて現世(うつしよ)を彷徨う我に涅槃(ニルヴァナ)遠し。

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劇詩「暁の寺」第23の歌「誹謗の罪」 [日本短歌協会]

闇の辺(へ)に座して語れば
いざや聞け遠きそらごと、
日のもとに立ちふさがりし
黒き雲われを攫いぬ。

胸乳這う手を逃れ出で、
隠沼(こもりぬ)のしげみに生(あ)れし
赤き蛇あまた放てば
みそかごと風のまにまに。

天(あめ)分かつあらそいやまず
水鏡波立ちにけり。
葦群(あしむら)の火のおとろえず
彼(あれ)を囲めり。

燃えさかるくちなわの輪よ隠沼の吐息をうつし邪悪を語れ。

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日本短歌協会設立5周年記念事業 劇詩「暁の寺」 [日本短歌協会]

所属している結社の上部組織「日本短歌協会」は
設立5周年を迎えますが、記念事業として
劇詩(dramatic poetry)「暁の寺」の制作公演を行います。

(以下、会報からの抜粋)
▽内容構成
1.清廉無名の歌人Kが、三島由紀夫の案内でタイ・バンコクは暁の寺地下深くある地獄へ旅をする。そこは輪廻転生の理から外された真に邪悪な歌人たちの永劫の地獄。
2.地獄の巻は「首歌~三十一歌」までの31編。短歌に関連する31の罪からなる厳罰処刑の場。
3.各歌(各編)は韻律を伴う叙事詩で語られ、脚注に筋書き・参考事項・補足事項などを施す。

▽目的
 脚本制作の過程で、短歌に関る者として、改めて「詩句」の意義を再認識し劇詩中に再構成する。かつ、三島の修辞は、詩句としての素材の宝庫とも言え、汲んで余りある成果も期待できる。また、上演の過程では身をもって韻律の重要性を体得できる。


……というもので、
筋書きとしてはダンテの「神曲」を下敷きにしたものですが、
「真に邪悪な歌人」としては古今東西のそうそうたる詩人・歌人が並ぶわけです。

昨年11月、キャストの1人について原稿依頼がありました。
「茜さす紫野ゆき標野ゆき」で有名な、額田王です!

いくらインスピレーションで作るとはいえ取っかかりがなくては
どうしようもないので、急遽参考書を読むことに。


額田王の謎―「あかねさす」に秘められた衝撃のメッセージ (PHP文庫)

額田王の謎―「あかねさす」に秘められた衝撃のメッセージ (PHP文庫)

  • 作者: 梅沢 恵美子
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2003/08
  • メディア: 文庫




万葉集の風土 (講談社現代新書 498)

万葉集の風土 (講談社現代新書 498)

  • 作者: 櫻井 満
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1977/12
  • メディア: 新書




ハムレット―定型詩劇 (1972年) (深夜叢書)

ハムレット―定型詩劇 (1972年) (深夜叢書)

  • 作者: 塚本 邦雄
  • 出版社/メーカー: 深夜叢書社
  • 発売日: 1972/10
  • メディア: -



で、年末から年始にかけて呻吟したわけですが、
原稿のすべてをまとめ、手を入れたものが
「歌人年鑑 2011年版」に掲載されているそうです。

現在送付をお願いしているので、届いたら自分の部分を
転載しようかなと思います。
原稿作成にあたり、長歌についてご教示いただきました歌人さま、
ありがとうございました。

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日本短歌協会会報・19 掲載歌3首【卵】 [日本短歌協会]

くちなはのよぎる炎昼身のうちに邪悪の卵(らん)を熟む白日夢

むらさきの襤褸はおもしかぎろひは翼と紛ふかげ落としけり

海の面と飛びゆく雲の逢ふところ夜のまらうどは身を起こすらし


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   国吉清尚「世紀末の卵」
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