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095:遠慮(紫苑) [題詠blog2011]

まみゆればおのずと笑みののぼり来て能くせぬ恋の深謀遠慮

094:裂(紫苑) [題詠blog2011]

さくら一枝ことばをわすれ眠りゐる刻(とき)の裂け目に雪は踊りぬ

093:迫(紫苑) [題詠blog2011]

食といふいとなみもたぬ蜻蛉の迫るいのちの浄くあらなむ

092:念(紫苑) [題詠blog2011]

情念のこゑ果てしなくこだまするひとのうつはに底の見へざり

091:債(紫苑) [題詠blog2011]

応へをし君な債(はた)りそ肯へずまなこ伏せれば雪泥にじむ

090:そもそも(紫苑) [題詠blog2011]

そもそもの猫愛(かな)しきと思ひしにいまだ解きえぬ「南泉斬猫」

089:成(紫苑) [題詠blog2011]

鶴首を一気呵成に引き上げし織部のあをはあたりをはらふ

088:湧(紫苑) [題詠blog2011]

くちびるに歌湧き出でぬ日もあれば百首のみちのかくもけはしき

087:閉(紫苑) [題詠blog2011]

厨辺のましろき湯気に閉ざされて妻たる我よ盲目であれ

086:貴(紫苑) [題詠blog2011]

貴石なと身に沿はざればむらさきの水晶ひとつ胸乳のうへに