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ナイル2020年9月号掲載歌【巣ごもり2】 [ナイル短歌工房]

ジャージーの少女の漕げるぶらんこは空にさみしき弧を描きけり

窓の外ゆ炭火のにほひ漂へば自粛の街にシュラスコを買ふ

聞こえくるいたづら弾きのピアノにはつかへつかえの喜びの歌

ぱちんこを咎むるこゑにあらはれぬ日のもとにある差別あれこれ

春すぎて夏来にけらししきしまの国の支援のいまだとどかず
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ナイル2020年8月号連載【〈短歌版〉私の本棚・32 廣島】 [ナイル短歌工房]

  烈(はげ)し日の真上にありて八月は腹の底より泣き叫びたき

 児童書『いしぶみ』に「山下明治くんのお母さんの歌」として掲載された一首である。『いしぶみ』は杉村春子の語りでテレビ放映された後に書籍化、ロングセラーとして現在に至っている。

 「山下くんのお母さん」の詳細を調べるべく、地元の神奈川県立図書館にレファレンスを出した。山下萩子氏について詳しいことは分からなかったが、参考資料の中に『日本の原爆記録(17)』が含まれており、一九五四年に第二書房より刊行された『歌集廣島』が収録されているとの回答が来た。

 『廣島』の歌は作者の五十音順に収録されているが、ここではテーマ別になるべく多くの歌を紹介する。引用は手元にある石川書房版(一九八五年)に依った。

●被爆から終戦まで
 己が身の焼かるは知らず敵の機を見上げをりしとふかの朝の吾子(山本紀代子)

 焼け切れしシヤツ持ちて恥部を覆ひたる女が水乞ひて吾に寄り来る(岡田逸樹)

 「許させ」と掌を合せつつ救け呼ばふ人を見過ごし夫護(も)りてゆく(原田君枝)

 声涼しくアリランの唄歌ひたる朝鮮乙女間もなく死にたり(神田満寿)

 黒き雨どしや降る路上に行き倒る学徒にそつと布団かけやる(名柄敏子)

 大根を重ねる如くトラツクに若き学徒の屍を積む(平野美貴子)

●生き残った人々の暮らし

 靴みがく児に父母はと尋ぬればピカドンで死せりとそつけなく云ふ(六十部かず緒)

 逝きし子を語りつかれて寡婦二人暮れ早き部屋に薄茶をすする(新田みどり)

 家族(うから)死にし地を公園となす作業寡婦凍空(いてぞら)に川砂はこぶ(清水惟明)

 帽子とりて白髪見すれば闇の女相済まぬやうに我を放てり(加納節尋)

●原爆乙女

 原爆にて半身焼かれし妹が友の嫁ぎゆく今宵早く寝る(新田隆義)

 原爆乙女の顔面整形を援助すとスターらサインす花やかに悲し(竹内多一)

●ABCC(原爆傷害調査委員会)

 比治山のいまだ稚き夏木立A・B・C・Cのドームは白く(向井恵美子)

 モルモツトにされに行くなとA・B・C・Cの被爆調書をやぶりて捨つる(今元春江)

●朝鮮特需、再軍備

 キヤバレーで軍艦マーチ流行す軍需景気を踊りゐる群れ(竹内多一)

 再軍備するとふ人よ銃とりて新戦場へは君独りゆけ(中川雅雄)

●そして

 「安らかに、過ちはくりかへしません」という墓碑銘はウオール街にでんと建てよ(増岡敏和)
 (「でん」に傍点あり)

 ここにまた夏は来りて草しげる地に幾万のいかりはひそむ(白島きよ)

【書籍情報】
家永三郎『日本の原爆記録(17)』日本図書センター、一九九一年


いしぶみ: 広島二中一年生全滅の記録 (ポプラポケット文庫)

いしぶみ: 広島二中一年生全滅の記録 (ポプラポケット文庫)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2015/01/02
  • メディア: 単行本




日本の原爆記録 (17)

日本の原爆記録 (17)

  • 出版社/メーカー: 日本図書センター
  • 発売日: 1991/05/01
  • メディア: 単行本


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ナイル2020年8月号掲載歌【巣ごもり】 [ナイル短歌工房]

おほやけにされぬ名前のもとよりは隔てられにし山峡にゐて

「マスク縫つてくれよ」とおきな外来の中止ののちのせうそこ知らず

あかねさすバラをポプリに仕上げれば蟄居のへやのふと華やぎぬ

支援とて購ひたりしTシャツのあまた届いて着る身はひとつ

虐待の増ゆるとぞ聞く『永遠の仔』のいちおんのしづくは落ちる

鳩らしき羽はちらばる休業がまはりまはつてカラス飢ゑしか

みまかれば何例目とふ数字もてかたよせらるる名をな忘れそ

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ナイル2020年7月号連載【〈短歌版〉私の本棚・31 猫は踏まずに】 [ナイル短歌工房]

  わたくしはけふも会社へまゐります一匹たりとも猫は踏まずに

 歌集冒頭の一首。猫「は」踏まずに会社へ行く。代わりに踏むものは何だろう。満員電車での他人の足か、昨日来た道か。唐突な結びつきが想像を呼ぶ歌だ。

 歌集は四部からなるが、Ⅰ部は職業詠が多い。

  とある朝クリーム色の電話機に変化(へんげ)なしたり受付嬢は

 経費削減のためか、受付に人を配置する代わりに内線電話を置いたのだろう。

  日々樹々の精霊たちをあやめてはコピー用紙を補充してゆく

 ペーパーレスといっても、なかなか紙ベースの資料はなくならない。環境・資源問題をも考えさせられる。

  長女つていつも鞄が重いのよ責任感を仕舞ひこむから

 著者が長女であるかどうかは分からないが、長子のありようが現れている。長男とはまた違うのだろう。

  世界第百十一位輝けり ニッポンチャチャチャニッポンチャチャチャ

 「ジェンダーギャップ指数(二〇一六年)」の但し書きがある。当然、職場での男女格差を反映していよう。二〇一九年現在、日本は百二十一位まで順位を落とした。

  パトラッシュが百匹ゐたら百匹につかれたよつていひたい気分

 著者はネット上でも歌を発表している。二〇一〇年一二月、「パトラッシュで短歌を詠むよ。」の投稿と共に詠まれたこの歌から、多くの「パトラッシュ短歌」が誕生した。

 歌集には枕詞を用いた歌や、本歌取りと思われる歌もあり、巧みである。

  春は夢 うすいがらすをはりはりと食べてふたたび眠らうとする
  みづうみの燃え出す夜を待つてゐる同僚として働きながら

 Ⅱ部には相聞、Ⅲ部には家族が登場するが、職業詠に比べて、作者と作中主体は離れていくように思われる。

  ふれられてひかるからだがあるころにわたしあなたに出会ひたかつた
  嫁として帰省をすれば待つてゐる西瓜に塩をふらぬ一族

 「桃と電力」と題された連作は、東日本大震災から、原発と電力のありかたを強く問いかける。

  嗚呼きみの「自動ドア」とは仮の名で「電気で動くドア」だつたのか
  前世紀末 電力館で桃買つたつけ渋谷電力館の福島フェアで

 終盤に向けて、自身を見つめる視点が印象に残る。

  わたくしがわたくしとして佇つために必要となる他者のまなざし
  若さとは海をゆく船ばうぜんと膝をかかへて見送つてゐた
  今生は常にくるしいものがたりさはされどゆく空を見上げて

【書籍情報】
本多真弓『猫は踏まずに』六花書林、二〇一七年


猫は踏まずに

猫は踏まずに

  • 作者: 本多真弓
  • 出版社/メーカー: 六花書林
  • 発売日: 2017/12/01
  • メディア: 単行本




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ナイル2020年7月号掲載歌【つばらつばら】 [ナイル短歌工房]

行き交へるマスクの群れの向かふがは人待ちがほのそぞろに立ちぬ

ひとところ春は来にけり気ぜはしき足もとに咲く花屋のブーケ

うすぐらき門をくぐればあしがきの振り子時計の我をむかへる

つかのまをふたり眠れば風の鳴るビルの谷間はかなしき真昼

黄昏をはやりやまひにつひのなくつばらつばらにもの思ふとき

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ナイル2020年6月号連載【〈短歌版〉私の本棚・30 メランコリック・エンブリオ】 [ナイル短歌工房]

 「エンブリオ」は多細胞生物の初期段階の「胚」のこと。歌集には「憂鬱なる胎児」と副題がついているが、器官原基の分化が完了してから出産までの胎児を意味する「fetus」と異なり、「embryo」は八週以内の個体を指すという。著者がこの語を選んだことには意味があるだろう。章分けはされているが、十五年間のさまざまな側面をそのまま提示された感がある。

  憎しみの翼ひろげて打ち振れば少年の雨期しずかにめぐる

 第一章には端正な歌が続くが、「アンゲルス・ノーヴス 新しい天使」に第二章への連続を見ることができよう。オマージュと添え書きがあるヴァルター・ベンヤミンはドイツの思想家で、西洋マルクス主義に強い影響を与えた。

  昼の月鳥籠に入れ提げて来ぬアンゲルス・ノーヴス 魂の年代記

 第二部「十三人目の使徒」。聖書で言えばイスカリオテのユダに代わって選ばれたマッテヤを指すとは思えず、むしろユダのイメージだが、確たる像は示されていない。

  処刑の朝目で射る楕円 崩れゆく思想笑いてしずみゆけり
  十三人目の使徒は革命を身籠れり祖国に向けて白き歯を剥き

 「革命」「思想」のキーワードとともに、革命家ローザ・ルクセンブルクを詠んだ連作がある一方で、戦争の傷跡を色濃く映したドイツ系ユダヤ人の詩人パウル・ツェランへの連作もある。

  鳥や樹は君の話を聞くだろうあかねさすイデオロギーは素直なる嘔吐
  擦過するツェラン青空に地は静まり悲劇は宴する水の足音に

 第三章「メランコリック・エンブリオ」では破調が増え、短詩に近い印象を受ける。前二章を身に取り込んで昇華したかのように。

  夜明けは股を開き鏡を見てささやくくちびるの傷――雨が
  わが内に卵の孵る所あり 昏きあけぼのを予言しており

 第六部「神々の手淫」から。

  黙示とは凍てうつくしき鶴にして海の蒼さに染まりたる声
  踊れ大地よ炎のような記憶の果て飽くことのなき神々の手淫
  自慰をする葉脈のような日記から救われ難き過去は寒晴れ

 「他者の声」で著者は書いている。
 「その得体の知れない歪な生き物を、仮に名づけるならば、「憂鬱な胎児」とでも言うことができるだろうか。「憂鬱な胎児」は、今も僕の中でさまざまな声を発しながら、誕生を待ち望んでいる。誕生は果たして可能なのだろうか。堕胎されてしまうか、あるいは認知されることもなく流れ去ってしまう運命にあるのではないか。」

 胎児は胎児として、生まれぬまま胎内に根を張り、うごめき続ける運命もあるように、私には思えるのである。

【書籍情報】
江田浩司『メランコリック・エンブリオ』北冬舎、一九九六年


メランコリック・エンブリオ―憂鬱なる胎児

メランコリック・エンブリオ―憂鬱なる胎児

  • 作者: 江田 浩司
  • 出版社/メーカー: 北冬舎
  • 発売日: 2020/06/01
  • メディア: 単行本


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ナイル2020年6月号掲載歌【横浜中華街・三月】 [ナイル短歌工房]

春節の獅子はうなだれ香港路シャッター街と見まがふほどに

叩けるもまた弱しとふ対岸の影のことばを疎みつつ聞く

閉店の張り紙あまた脅迫をされたと言へぬ店のことなど

ひさかたの関帝廟にぬかづけば安寧のほか祈り浮かばず

点心をひとつ余分に添へくるるランチひとつに店のこころは

八卦見は長生きすると我に言ふ禍ごとおほきこのうつし世に

うきふしを知りて拡ごるハッシュタグSNSは結ひのつらなり

善隣門をかざる「がんばれ中華街」ひと戻りつつハマの休日

無題.jpg
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ナイル2020年5月号連載【〈短歌版〉私の本棚・29 まだまだです】 [ナイル短歌工房]

 「NHK短歌」にレギュラー出演、角川短歌賞に三年連続入選の経験を持つカン・ハンナの第一歌集。韓国人としてのアイデンティティを見つめながらの日本での暮らし、家族との関わり、自分のありようが端正な日本語で詠われている。

  韓国語明るい新宿に振り向かずニッポンジンのフリして歩く

 新宿は多様化した街で、家電量販店などには外国語の堪能な店員もいる。しかしその「明るさ」は一過性の観光客を意図したものなのか。在日外国人に日本人のフリをせざるを得なくさせているのは何なのか。

  傘のなか彼から汗の香りがしたどうやらその日が梅雨の始まり

 梅雨入りの日が「何月何日」と確定されなくなって久しい。身近な嗅覚から梅雨の始まりを知る繊細な詠みぶりが光る。

  東京はエレベーターでも電車でも横目でモノを見る人の街

 日本人のありように対する鋭い観察眼が感じられる一首。

  日本語の「行けたら行く」は「待たないで」の意味だったのか 飴を舐めつつ

 日本語独特の言い回しは、特に来日して間もない外国人の理解を超えるだろう。隠された冷たい底意を知ったいくぶんかの失望が詠まれていて巧み。

  強い風にもつれた髪を櫛でとく またもつれたら我が櫛でとく

 「我が」が一気に喩を感じさせる。「強い風」は単なる強風ではあるまい。

  読み終えた『異文化理解』の中からは見つけられない日韓の距離
  「に」と打つと自動変換の「日韓」が初めに出てくる人生を選る

 大学院在学中の著者の専門は国際政治関係とのこと。韓国人として日本に滞在し、両国の関係をつきつめてゆく気概が感じられる。

  一階にあるファミマでは白い手も黒い手もみなおにぎりを取る
  提出の書類が違うと返されたタイの青年よ肩を上げなさい

 連作「入国管理局」。在日外国人はビザ更新の期限を逃せば収監されるリスクを背負っている。長い待ち時間の間の昼食や、書類が通らず肩を落とす青年の様子が浮かび上がる。

  「日本語が上手ですね」と言われると「まだまだです」が口癖になり

 歌集のタイトルでもある「まだまだです」について、著者は当初の「自分を低める」という感覚から、「初心に戻れる」という肯定的な捉え方に変わったようだ。「まだまだ」は非常に日本的な表現だが、私たちは、特に非白人系の在日外国人に過剰な謙遜を求めてはいないかと考えてしまった。

  ハングルを交ぜた短歌に文学は平和であってほしいと願う
  そよそよと風が吹くようソウルでもサルランサルラン風は吹くだろう

【書籍情報】
カン・ハンナ『まだまだです』角川書店、二〇一九年


歌集 まだまだです

歌集 まだまだです

  • 作者: カン・ハンナ
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/12/11
  • メディア: 単行本



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ナイル2020年5月号掲載歌【題詠百首より~朝のいううつ】 [ナイル短歌工房]

あしひきの岩波文庫の書棚より薄きを選みたづさへてゆく

携帯はひそかにふるふいふなればほどよき距離の恋のまねごと

あべこべの道ゆきしひと探さむと出づれば襟に木枯らしの吹く

障害も個性ならむか白壁に七本脚の蜘蛛うずくまる

名も知らぬひとに無沙汰のわびを兼ね歌を送れば「いいね」が届く

ひそかなる自慢のうつは毎日のまずしき糧をいろどつてゐる

包丁を落とせば鈍き音のして未練のままに南瓜は裂けぬ

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ナイル2020年4月号連載【〈短歌版〉私の本棚・28 しあわせの王様】 [ナイル短歌工房]

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者であり、れいわ新選組から出馬、参議院議員として活動する舩後靖彦。本書は、四十一歳の発症から、医師の勧めによりはじめたピアサポートに生き甲斐を見いだし、講演やコンサート活動を続けるまでの短歌が収められている。初版は二〇〇八年で、二〇一六年に増補新装版が出ている。

  歯ブラシが手からぽろりと落ちたのが
  地獄の使者の挨拶始め

 歯ブラシや鉛筆を落とす。子どもと腕相撲をすれば簡単に負けてしまう。症状は日常生活の中で現れた。

  脳の指示無視して動かぬわが右手
  筋書き掴めぬ劇の幕開き

 原因を探して著者は病院を渡り歩く。ALSと診断されたのは十箇月の後だった。

  その時は苦しみますかと訊(たず)ぬれば
  静かに逝(い)くと医師は微笑み

 ALSは意識障害のないままに筋肉の萎縮と筋力低下が進み、呼吸筋麻痺に至る。告知時の衝撃は想像に余りあるが、そのときの医師への問いを詠んだ歌である。

  検品で夜な夜なひとり見惚れてる
  ダイヤモンドは妖しき化蝶(けちょう)

  「惚れるなよ売れなくなる」とボスの声
  きらめく宝石(いし)を手放すつらさ

 発症してからもしばらく仕事を続けていた著者は、時計・宝飾メーカーの腕利きのバイヤーだったようだ。歌からは寝る間を惜しんで成果を上げ、商品に入れ込んでいた著者の姿が垣間見える。

  動く頃 阿修羅(あしゅら)の如く働いた
  幸(さち)よ舞い降れこの俺にだけ

 寝たきりになった後、著者は医師の勧めで同病の患者と助け合うピアサポートにつながり、新患にアドバイスを送り始める。

  新患に聴かせてみれば皆(みな)涙(なみだ)
  己(おのれ)の未来知った辛さで

  俺も人 涙より笑(え)みつい見たく
  同病の共にエールを綴(つづ)る

 症状が進み、呼吸に支障を来したとき、人工呼吸器を装着するかどうかの選択は患者に委ねられている。ピアサポートに生きがいを見出した著者は、呼吸器をつけて生きることを選んだ。

  死を望む我に生きよと告ぐる声
  廊下に響く呼吸器の音

 それからの著者はピアサポート、講演、コンサートと積極的な活動を展開してゆく。参院選に当選後、さまざまな声もあったが議員としての成果は確実に出ている。質疑の節目に詠む歌も定番となりつつある。公人としての発言を注視しつつ、今後の活躍に注目したい。

  わが文(ふみ)を読む同朋(はらから)に笑(え)みこぼれ
  俺に成せるはこれと火が点(つ)く

  障害を俺が世間にさらさねば
  病友たちは隠れ住むまま

  病苦さえ 運命(さだめ)がくれたゲームだと
  思える我は「しあわせの王」

  俺らしく いまやれることやりぬいて
  走り続けん いまこの瞬間(とき)を

【書籍情報】
舩後靖彦/寮美千子『増補新装版 しあわせの王様』、ロクリン社、二〇一六年


増補新装版 しあわせの王様 全身麻痺のALSを生きる舩後靖彦の挑戦

増補新装版 しあわせの王様 全身麻痺のALSを生きる舩後靖彦の挑戦

  • 出版社/メーカー: ロクリン社
  • 発売日: 2016/06/27
  • メディア: 単行本



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