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北極星……ではなく [恋愛]

標(しるべ)としさだむる星の巡りゆき野なかにありて道をうしなふ

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北極星を詠んだのではなく、言外に詠んだのは
北極星以外の星ですね。

北極星が目印と言われるのは、移動することがないからです。
それ以外の星は時間につれて巡ってしまうので
道標にはなりません。

”自分が道標と決めた星が巡っていってしまい、野原のただなかで
道に迷ってしまいました……”
一応カテゴリとしては「恋愛」で、「迷う」ということを頭に置いて
詠みました。

でも、詠むならストレートに北極星を詠んだ方がよかったかなとも思い、
迷いは尽きません……。

折句「クリスマス」 [恋愛]

暮れなずむリバーサイドを透かし見つマッチを灯し捨つるゆびさき

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折句はもともと、歌の中に関係のない語を織り込む遊びなので
これもありかとは思いますが……。

クリスマスとは何ら関係ない歌ができてしまいました。

強いていえば井上陽水の「リバーサイドホテル」のイメージで。
「マッチ」は寺山修司のうたがちらっと浮かびました。
まともなホテルにはないでしょうが、
プラスチックの、キッチュなブラインドもイメージしました。

ほんらい天邪鬼なので、クリスマスとは関係ない
虚無的なうたを詠んでみたかった。
それだけかもしれませんが……。

櫛 二首 [恋愛]

結い上げし髪より櫛を抜く闇の指にオパールは 雫と落つる

櫛をぬき髮ほどくときそにひそむ蛍火にのせ我が身放てり


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髪のものが好きです。
若い頃たまに骨董屋さんで気に入ったものをもとめたり……。

そのうち洋装用の櫛は写真の1本しかなく、
鼈甲にオパールを嵌めたフランスのものです。

今は髪を結って着飾ることもありませんが、女性にとって
髪を結い上げること、それをほどくことは
特別な思いがありますね……。

指恋 [恋愛]

<指恋>のひびきはやさし
ことの葉に寄する想いは現代(いま)も変わらず


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ゆびこい【指恋】
好きな人と携帯でメールをすること。
相手に自分の思いを伝えようとすること。
《語源》親指で文字を打つことから。

背徳のうた [恋愛]

肯(うべな)へぬ罪なればこそ堕つるときひとは哭くらむ死を裡に抱き

背徳の黒抱(いだ)きしめこの足でどこまでゆける罪の子われは

光の子になれぬなろうと思わぬと叫ぶ吾を見透かす我ありて

相身互い責めありければ捨つる捨てらるとは云はじ別れ来といふ

詠み詠みて揺すり熾(おこ)せしものどもを埋め戻さむと杯を重ぬる


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これらの歌を「うたのわ」に上げた時は迷いましたし、
今またここに上げることも迷いました。

「うたのわ」ではこの後に退会された方もありましたので
騒ぎを起こした張本人という責めがあれば甘んじて受けます。

なぜこんな恥さらしな歌を上げたのか、
理由はいくつかあります。

自分の中でわだかまっていることを、誉めたことではないにせよ
いつか言葉にしなければ総括できないだろうと思ったこと。

またそのきっかけとなるお歌があったこと。

その一首は強がりの歌で、他方は体験上やむを得ないこととしつつも
神の前に罪だと詠ったものでした。

私は最初の歌を詠んだ人が、歌に似合わず繊細な神経の持ち主と
知っていたので、罪だと言われることでその人に退いて欲しくなかった。

また、大概の人は良心はあっても「神」というほどの
強い拠り所をもたないので、弱い方に添いたかった。

加えて、その後で詠まれた歌について、
人気取りのために罪の歌を詠む人などいないし、
自分で選んだ関係について自分を貶めるような言い方に
反発を覚えたことも理由のひとつでした。

詠んだことで自分がすっきりしたかと問われれば、
応えは否です。
自分が選び、背負ってゆかねばならぬことが
はっきり視えたというのが、
いちばん正確な表現ではないかと思います。

みだれ髪 即詠 [恋愛]

みだれ髪手早く結ぶ指さきにともにすごせぬ罪の凝れる

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モバイル短歌には登録していませんが、
歌会のテーマをお借りして作ったものです。
もともと気ままに始めてしまった短歌なので
題詠が極端に苦手で……。
これは題詠+即詠なので輪をかけて難しかったです。

山茶花時雨 [恋愛]

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たまたま同日に時雨を詠んだ方がおられました。
転載のご諒解をいただきましたので、ご紹介いたします。


ワイン [恋愛]

ダリも愛でし天鵞絨(びろうど)のごとき葡萄酒に
吾はきみの眼のうえで溶けゆく


ダリも愛飲したという「マルケス・デ・リスカル」に、
お皿の上で溶けたカマンベールチーズに発想を得たという、
「記憶の固執」のだらんとした時計を加えて。

写真は関内の「カサ・デ・フジモリ」で撮りました。

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ほくろ [恋愛]

花闇にふたり沈みゐて我が首の黒子を撫づる指を愛しむ

「首筋にほくろがあるね」と言いしひとの声耳もとによみがえり来る


うたの投稿サイト「うたのわ」でひと晩ふた晩、
ほくろの歌が多数読まれた日がありました。

左側の首筋にほくろがあります。

日本人は何でも占いにしてしまうのが好きらしく、
「ほくろ占い」というのもあるそうですね。

●首筋
ここにほくろのある人は、…(中略)…様々なタイプの人と交際しますが、押しの一手に弱く、…(中略)…女性なら既婚者に誘われて不倫にいたることもあるので気をつけて。

……。

やなことを読んじゃったかも。

ポプラ少年 [恋愛]

くさぐさを抱けるままに寒風のポプラのごとく君は立ちたり

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いくつになっても一本筋の通ったものを持っている人って
いいなあと思います。

三句は、四句と被っているということで直していただきました。


この歌を詠んでからしばらくして「ポプラ少年」という言葉を
思い出しました。
これは立原正秋の「冬のかたみに」に出てくることばで、
光代夫人が立原の印象をひと言であらわしたものです。

自分では忘れていたのですが、記憶のどこかに
この言葉が残っていたので「ポプラ」を使ったのかなと
後から思いました。