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日本短歌協会会報44 掲載エッセイ【おひとりさま】 [日本短歌協会]

 もともと群れるのが嫌いだ。映画でも美術館でも、行こうと決めたらさっさとひとりで行く。「行動的だ」と言う人があるが、腰が軽いわけではなくむしろ出不精だ。お金はないがそれなりに時間があることも、興味関心があるなかから自分なりに厳選して出かける契機になっている。

 最近、おひとりさまで出かける場所が一箇所増えた。それは「路上」。体力的な理由から国会前や官邸前、入管にはほぼ行けないが、地元で「これは」と思う抗議には行くことにしている。神奈川は民族差別が多い。誰彼構わず「◯◯人帰れ!」と悪罵される場所に一人で向かうのは胃も痛く足取りも重いが、父方が引き揚げの日本人だと知る人に差別発言をされた記憶が後押しをする。「またどこかの路上で会いましょう。」最近の抗議は「おひとりさま」の集合体なのかもしれない。

 心身に不安を覚えたら、今の生活は成り立たなくなるだろうが、それまでは「おひとりさま特権」を満喫・駆使するつもりである。

 引き揚げを祖(おや)に持ちしと知るひとにあちらの血はと問はれし日あり

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