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西中眞二郎さんに選歌をいただきました [題詠blog2013]

002:甘 一羽二羽餌ひろふ鳥のかげのあり掘り返されし甘藷畑に

003:各 秋闌けてなかば刈られし浅茅生の各務が原を照らす月影

009:テーブル それぞれのテーブルにゐるふたりにて背(せな)にたがひの気配ききをり

012:わずか 部屋べやの時計のわづかづつ狂ふこのあいまいな瞬間を生く

016:仕事 笑みを売る仕事にあればうしろ手に戸を閉めるとき家を捨てをり

018:闘 闘ひに疲れしひとを抱きしむる腕もたざれば聖母にあらず

019:同じ どぶねずみ色といはるる制服にだれも同じとみゆる雑踏

029:逃 逃げ水に誘はるるがに思ひ出づ背(せな)をおくりし夏の日の恋

033:夏 日々草しをれて落ちぬをとめごの捨つるものあり晩夏ひと日に

039:銃 愛用のライカは銃(つつ)であつたらういくさを追うて散りにしキヤパの

046:間 ひとの気をふくまぬ風のしんしんと身を浸しゆく夜と朝の間(あひ)

051:般 身に生ふる鱗あまたをもてあまし般若の口にこゑのなきなり

053:受 憐れみを乞へるアリアに身をひたす真夜かなしかりマタイ受難曲

056:善 そのかみの都の冬をおもひつつ堆朱の椀に善哉を食む

057:衰 衰ふる記憶の果てに幼子のごとくおうなのひとに甘ゆる

058:秀 縦糸をくぐりゆく梭は魚(いを)のごと秀つ手(ほつて)をはなれ自在におよぐ

060:何 ドラマにもよくある景色たむろする若きを誰何するこゑの鋭(と)し

066:きれい きれいさびあをき楓のひともとを風ふきおとす遠州の庭

072:産 あはき陽に鈴の音ひとつ響きをり産土神をまつる社の

081:自分 歌に生き恋に生きむときめてより自分史は辿らぬとうそぶく

086:ぼんやり さまよへる夜ごとの影をかたはらにコンビニの灯のぼんやりと照る

087:餅 いはひごととはほど遠き厨べに月餅ひとつもてあましをり

088:弱 ひとたびは世のすゑを視し弱法師の目を閉ざしけりふたたびの修羅

090:唯 うつくしき谷間の百合を語りあふ唯物論をうしろ手にして

095:例 身のうちにかなしき熱を秘めてをり例へば貝の虹いろの洞(ほら)


例年通り、西中眞二郎さんのブログ「しなやかに、したたかに、無責任に…」で
題詠blog2013の選歌をいただきました。
ありがとうございました。

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