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スプウン [恋愛]

スプウンの面曇りけり馬車道に淪落のごと華尼拉(ハニルレ)あまし

   bashamiti_ice.jpg

twitterで長音符を使わないでカタカナを書くと
お洒落に感じる、という話題が出ました。

そこから、太宰治の「斜陽」の冒頭、お母さまの話になりました。

 朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、
「あ」
 と幽かな叫び声をお挙げになった。
「髪の毛?」
 スウプに何か、イヤなものでも入っていたのかしら、と思った。(中略)
 スウプのいただきかたにしても、私たちなら、お皿の上にすこしうつむき、そうしてスプウンを横に持ってスウプを掬い、スプウンを横にしたまま口元に運んでいただくのだけれども、お母さまは左手のお指を軽くテーブルの縁にかけて、上体をかがめる事も無く、お顔をしゃんと挙げて、お皿をろくに見もせずスプウンを横にしてさっと掬って、それから、燕のように、とでも形容したいくらいに軽く鮮やかにスプウンをお口と直角になるように持ち運んで、スプウンの尖端から、スウプをお唇のあいだに流し込むのである。そうして、無心そうにあちこち傍見などなさりながら、ひらりひらりと、まるで小さな翼のようにスプウンをあつかい、スウプを一滴もおこぼしになる事も無いし、吸う音もお皿の音も、ちっともお立てにならぬのだ。(後略)


この「スウプ」「スプウン」が同様に情緒を醸し出す表記だ、というところで一致しました。

調べたところ、長音符の歴史は意外に古く、
外来語をカタカナ表記するようになった明治時代だそうです。

そこで、日本で初めてアイスクリームを製造販売した
馬車道の「相生」をイメージして詠んでみました。

ちなみに「華尼拉(ハニルレ)」はバニラの和名で、
やはり明治時代に使われていた表記だそうです。


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