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黒川能 [演劇・舞踏・伝統芸能]

おもて掛け舞ひ謡ふとき土を鋤き酒を汲む手に神宿るらむ

   kurokawa_no.jpg

2月の王祗祭に行ったことはありませんが、
若い頃5月の例祭に行きました。

能楽研究の増田正造先生が主催する、勉強会を兼ねたツアーに
同行させていただいたのです。

黒川能は単なる上演でなく神事ですが、特別なはからいで
ツアー参加者も直会(なおらい)に出させていただきました。

午前から午後半ばまで奉納があってなお、酒が進むと
上座・下座の各太夫を皮切りに
直面(おもてをかけないこと)の舞が次々飛び出すさまに、
驚きもし感心もしたものです。

私が向かいに座ったのは、下座で大鼓を担当している
渡部甚之助さんとおっしゃる方でした。

日本酒をさしつさされつ、
聞き慣れぬ庄内ことばを一生懸命聞き取ったところでは、
渡部さんはかつて上座にいたというのです。
けれど、下座で大鼓の後継者が絶えたために、
下座に移り、後進の指導にあたっているということでした。
普通は謡にしろ楽器にしろ、順番に継承されていくのでしょうから
事故や急逝など、特殊な理由で
後継者がいなくなってしまったのだと思います。
(後から「黒川能の世界」という本を読んだところ、渡部さんはたしかに
上座の一員として紹介されていました。)

2つの座は競う仲として紹介されることが多いですが、
事情が生じたときは協力して芸を継承していくのだなあと
民俗芸能を受け継いでいく力を改めて感じたのを憶えています。
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